いろいろな錠剤
<錠剤とは…>
錠剤とは、有効成分または有効成分に賦形剤等を加えたものを圧縮形成などの方法により一定の形に製した固形の製剤です。携帯性に優れ、容易に一定量を取ることができます。
錠剤は、有効成分の種類や効果を発揮したい部位によって形や大きさが異なり、円盤状のものやレンズ形、竿形などが多いです。大体、重量は200~500mg、直径は8~15mmの間で作られています。
錠剤の利点は、以下のようなものが挙げられます。
- 飲みやすい
- 含有量が均一
- 効果時間が調節できる
- 味を良くしたり臭いを消すことができる
医薬品として最も多く用いられている剤形であり、さまざまな種類の薬が錠剤があります。
<錠剤の種類>
①腸溶剤
腸溶剤とは、有効成分が胃酸によって分解されたり、胃を刺激したりすることを防ぐために、胃酸で溶けにくく、腸で溶けやすいように加工された薬剤のことです。
一般的に、胃酸は強酸性で、多くの薬剤を分解してしまいます。また、胃酸は胃粘膜を刺激し、胃炎や胃潰瘍などの原因となります。
このような問題を解決するために開発された錠剤です。
服用する際の注意点は、腸溶剤を噛んだり砕いたりすると、有効成分が胃の中で溶けてしまい、効果が失われることがあります。
【腸溶剤の薬剤例】
・アザルフィジンEN錠:関節リウマチ
(enteric:腸溶性)
・バイアスピリン錠 :血栓・塞栓形成の抑制
・オメプラール錠:胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎など
②徐放剤
徐放剤とは、薬の有効成分が少しずつ長時間放出され続けるように加工された製剤のことです。
徐放剤は、以下の2つの目的で使用されます。
- 血中の有効成分濃度を一定に保つ
- 薬の服用回数を減らす
血中の有効成分濃度を一定に保つことで、副作用の発生頻度を下げることができます。また、薬の服用回数を減らすことで、患者の服薬コンプライアンスを向上させることができます。
服用する際の注意点は、徐放剤は徐々に放出する構造になっているため、噛んだり砕いたりすると、薬が急に放出されて、薬の濃度が短時間で高くなり、副作用が出やすくなります。
【徐放剤の薬剤例】
・アダラートCR錠:高血圧症、腎血管性高血圧症、狭心症など
・ベザトールSR錠:高脂血症
・デパケンR錠:各種てんかん治療など
・ユニフィルLA錠:気管支喘息、慢性気管支炎、肺気腫
➂糖衣錠・フイルムコーティング錠
糖衣錠とフイルムコーティング錠とは、錠剤の表面をコーティングした錠剤のことです。
「糖衣錠」は、糖類または糖アルコールを含むコーティング剤で錠剤の表面を覆った錠剤です。糖衣錠は、薬の苦みや臭いを抑え、錠剤の表面を滑らかにすることでのみやすさを向上させる効果があります。また、糖衣錠は、錠剤の表面に色をつけることで、識別を容易にすることができます。
「フイルムコーティング錠」は、高分子化合物を含むコーティング剤で錠剤の表面を覆った錠剤です。フイルムコーティング錠は、糖衣錠と同様に、薬の苦みや臭いを抑え、錠剤の表面を滑らかにすることでのみやすさを向上させる効果があります。また、フイルムコーティング錠は、糖衣錠よりも薄いコーティングで済むため、錠剤の表面が滑らかで、光や湿気に対する安定性が向上します。
【糖衣錠・フイルムコーティング錠の薬剤例】
糖衣錠
・アリナミンF糖衣錠:ビタミンB1欠乏症の予防及び治療など
・フルメジン糖衣錠:統合失調症
フイルムコーティング錠
・ アテレック錠:高血圧症
・シングレア錠:気管支喘息、アレルギー性鼻炎
➃口腔内崩壊錠
口腔内崩壊錠(こうくうないほうかいじょう)とは、水なしで口の中で溶ける錠剤のことです。舌の上にのせると唾液ですぐに溶け、噛む必要がありません。
口腔内崩壊錠は、以下の2つの目的で使用されます。
- 水なしで服用できるため、水分摂取が制限されている場合や水がない場所でも服用できる
- 錠剤を飲み込みにくい小児や高齢者でも服用しやすい
「口の中(Oral)で崩壊する(Dispersing)という意味から「~OD 錠」と名前がつい ていることが多いですが下記に示す表記も知られています。
【口腔内崩壊錠の薬剤例】
・アムロジピン OD 錠 :高血圧症,狭心症ど
・メトリジンD 錠:本態性低血圧、起立性低血圧
・ゾーミッグRM 錠:片頭痛
・マクサルトRPD 錠:片頭痛
・マーズレン配合錠 ES :胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎
➄チュアブル錠
チュアブル錠とは、口腔内で噛み砕いて服用する錠剤のことです。咀嚼錠(そしゃくじょう)とも呼ばれます。 吸収は、主に小腸から行われます。
チュアブル錠は、以下の2つの目的で使用されます。
- 錠剤を飲み込みにくい小児や高齢者でも服用しやすい
- 錠剤の苦みや臭いを抑えて、服用時の不快感を軽減する
【チュアブル錠の薬剤例】
・モンテルカストチュアブル錠;気管支喘息
・ホスレノールチュアブル錠: 慢性腎臓病患者における高リン血症の改善
➅舌下錠
舌下錠とは、舌の下に入れて溶かして服用する錠剤のことです。舌下錠の有効成分は、舌の裏の粘膜から直接血管に吸収されるため、服用してから体内に作用するまでの時間が非常に速いという特徴があります。
服用する際は舌の下に入れて溶かすため、かんだり、飲み込んだりしないように注意しなければいけません。
【舌下錠の薬剤例】
・ニトロペン舌下錠:狭心症、心筋梗塞、心臓喘息、アカラジアの一時的寛解
・アシテアダニ舌下錠:ダニ抗原によるアレルギー性鼻炎に対する減感作療法
➆バッカル錠
バッカル錠とは、口腔内の歯茎と頬の間に挟んで唾液で溶かして服用する錠剤のことです。バッカル錠の有効成分は、口腔粘膜から直接血管に吸収されるため、服用してから体内に作用するまでの時間が速いという特徴があります。バッカル錠は、舌下錠と似ていますが、舌下錠は舌の下に入れるのに対し、バッカル錠は歯茎と頬の間に挟むという違いがあります。
【バッカル錠の薬剤例】
・イーフェンバッカル錠:強オピオイド鎮痛剤を定時投与中癌患者における突出痛の鎮痛
➇トローチ(外用剤)
トローチとは、口の中でなめて、徐々に溶かすことによって、口やのどの細菌を殺したり増殖を防いだりする目的で使用される薬剤です。
トローチは、主薬が唾液によって徐々に溶解することで、口腔や咽頭などの粘膜に殺菌や収れんなどの局所的作用を示すように設計されています。噛み砕いたり、 飲み込んだりすると成分が胃に流れてしまい効果がなくなるため できるだけ長く口の中に含み溶かします。
【トローチの薬剤例】
SPトローチ:咽頭炎、扁桃炎、口内炎、抜歯創を含む口腔創傷の感染予防
エンペシドトローチ:HIV感染症患者における口腔カンジダ症(軽症、中等症)
⑨粒状錠
粒状錠とは、有効成分を微細な粒状にして、それをまとめて錠剤にしたものです。
粒状錠の特徴は、以下のとおりです。
- 溶けやすい
- 崩壊しやすい
- 錠剤を飲み込みにくい人でも服用しやすいようにする
- 薬の効き目を速める
- 薬の成分を効率よく吸収させる
服用方法は簡単ですが、噛んだり、砕いたりすると、有効成分が口腔内に残留し、吸収が妨げられる可能性があります。
【粒状錠の薬剤例】
・バラシクロビル粒状錠500mg:抗ウイルス薬
・レボフロキサシン粒状錠500mg:広範囲経口抗菌製剤
⑩付着錠
付着錠とは、口腔粘膜に付着して薬効成分を徐々に放出する錠剤のことです。
口の中に貼りつく層(付着層)と、それ を支える層(支持層)との2層からなり ます。薬を含む付着層は、その後、 唾液により膨張して、持続的に患部に 薬が効くように工夫された錠剤です。
【付着錠の薬剤例】
・アフタッチ口内用貼付剤:口内炎などの炎症を抑える薬
・ワプロン口内用貼付剤:口内炎などの炎症を抑える薬